海外積立投資に関することで、「メティス(Metis)」を聞いたことがありますか?
インベスターズトラスト(ITA)、ロイヤルロンドン(RL360°)よりは比較的知られていないものだと思います。
「聞いたことがない…」
「聞いたことあるけど、怪しくない…?」
と思われる方に向けて、メティスについて解説したいと思います。
メティスとは?
メティスは、正式名称を「メティスグローバルリミテッド」といい、香港にて登録を受けた信託会社です。
HPのトップにもブルームバーグの中文版が表示されています。
HPにあるメティスHKはメティス香港(Hong Kong)の略称です。
なぜ香港で登録をしているかというと、香港がアジア随一のオフショア金融センターだからです。(オフショア金融センターとは?)
こういった世界有数の金融センターに支社を設けることで、資金が集まりやすくなり、国内外の投資家へ質の高い金融商品を提供することができます。
メティスは信託会社ということで、メティスに投資信託した顧客の資産は、メティスの資産と分けて管理されます。
これを分別管理といいます。
他の投資信託もそうですが、基本は分別管理されているので、もし信託会社の経営が悪化しても顧客資産への影響はあまりありません。
メティスの場合、顧客の資産はシンガポールのDBS銀行が管理しています。
また、監査法人として、世界四大監査法人の1つであるEY(アーンストアンドヤング)が運営を監査しています。
ここまで聞くと、メティスという会社は安全性が高いものと思われます。(メティスの信託:参照)
さらにメティスは、ブルームバーグ(Bloomberg)による信託サービス最優秀賞を2019,2020年と2年連続で受賞しています。
ブルームバーグからも評価されているということで、メティスは実績も申し分なさそうです。
メティスの特徴
では、メティスの特徴をみていきましょう。
メティスの特徴は、だいたい以下の4つです。
・手数料が高い
・IFAが1つのみ
・運用ファンドが少ない
・ボーナスが少ない
デメリットだらけのようですが、1つずつ解説していきます。
手数料が高い
まず手数料ですが、インベスターズトラストやロイヤルロンドンに比べると高い印象があります。
メティスでは
・プラン手数料
・管理手数料
・ポートフォリオマネジメント費
・初期手数料
・クレジットカード手数料
がかかります。(メティスのプラン詳細)
・プラン手数料 … 毎月7ドル(年84ドル)
プラン手数料は毎月固定でかかってきます。
・管理手数料 … 毎月アカウント評価額の0.12%
アカウント評価額というのは、今まで積み立ててきた自らの資産の総額です。
・ポートフォリオマネジメント費 … 毎年、貯蓄口座額の1%
マネジメント費用がプラン手数料とは別にかかります。
・初期手数料 … 初期口座額の毎月0.7%
初期口座額は、契約期間によって異なります。
・クレジットカード手数料 … 毎回の決済額の1%
メティスに限らず、オフショア投資はクレジットカード決済が主です。
他のオフショア投資では無料なのに対して、手数料を1%も取られてしまうのは少々割高な気がします。
初期口座額と貯蓄口座額
・初期口座額
初期口座額とは、積立を始めてから数年の間の口座残高のことです。
その期間は契約期間によって変わりますが、25年契約だと2年間です。
25年契約で毎月10,000円積立投資するとしたら、
初期口座額は2年の間は毎月10,000円ずつ増えていき、2年経過後は24万円で固定となります。
・貯蓄口座額
貯蓄口座額とは、積立をした総額から初期口座額を引いたものです。
つまり同様の例だと、最初〜2年の間は貯蓄口座額は0。
2年経過後に、総積立額ー24万円となります。
IFAが1つのみ
メティスのIFAには、アテナベストという1社しかありません。
(IFAが何か知りたい方はIFAとは?を参照)
オフショア投資は、IFAを通じて行います。
そして、IFAがそのまま運用の指示をするため、IFAの良し悪しが投資の利益に直結します。
IFAが一つしかないと、もしアテナベストの運用成績が悪くなり雲行きが怪しくなってしまった時にどうすることもできません。
運用ファンドが少ない
メティス含めオフショア投資では、さまざまなファンドの中からポートフォリオを構築することで高い運用成績を残そうとします。
しかし、メティスの場合は約10のファンドしかなく、他のオフショア投資と比較すると選択肢が狭まっています。
もちろん選択肢が少ないからといって、運用成績が悪いということはありません。
しかし、インベスターズトラストなどは300以上のファンドから選択することができます。
もちろん少ない場合も多い場合もメリットデメリットはありますので、ここは個人の好みによると思います。
ボーナスが少ない
オフショア投資には、「ロイヤリティボーナス」といって長期投資している投資家の方々に還元する仕組みがあります。
メティスには2種類あり、「初期ボーナス」と「ロイヤリティボーナス」があります。
しかし、初期ボーナスは、手数料の内の「初期手数料」でほとんど消えてしまうので実質無いようなものです。
そこで、ロイヤリティボーナスが重要になってきます。
メティスのロイヤリティボーナスは、5年ごとにアカウント評価額の1%が還元されます。
インベスターズトラストなどでは、ロイヤリティボーナスが5%〜7%あるので、少ないと言われてしまいます。
メティスの評判
最後に、メティスの評判をみていきましょう。
「メティス」をGoogleなどで調べると、あまり良い評判は出てきません。
「解約代行サービス」
「おすすめしない」
などが出てきます笑
確かにここまで見てきたメティスの特徴などを考慮すると、他のオフショア投資の方が優れていると感じます。
しかし、メティスの安全性自体はそんなに悪いものではありません。
最初にも書きましたが、メティスはブルームバーグ(Bloomberg)による信託サービス最優秀賞を2019,2020年と2年連続で受賞しています。
さらに、格付け会社Standard&Poors(S&P)からAA+の信用格付を取得しています。
これらからも分かるように、メティス自体は非常に安全性も高く怪しいものではありません。
では何が評判を悪くしているかというと、メティスを契約するために必要な紹介者です。
メティスに関するさまざまな記事をご覧いただければ分かりますが、メティスの悪評は
「紹介者に騙された」
「紹介者が自分の利益を優先している」
といったところから生まれています。
こういった評判が多く書かれるということは、もちろん全ての紹介者が悪いわけでは無いですが、多少なりとも悪い紹介者がいるのでしょう。